ABS 樹脂 Learning Center

ABS 樹脂

ABS樹脂はアクリロニトリル、ブタジエン、スチレンを重合させた樹脂。アクリロニトリルは耐気候性及び耐熱性、ブタジエンは耐衝撃性に優れ、更にスチレンが表面に艶と成形能力を与えるほか、室温から零下40℃の環境下での耐衝撃性に優れていることが特徴です。一般的にA、B、Sの比率は20:30:50となっていますが、この比率や重合方法、ペレットのサイズを変更することにより異なる性質のABS樹脂を作り出すことができます。例としては、ブタジエンの量を増やすと耐衝撃性は高まりますが、剛性及び流動性、更に強度や耐熱性は弱まります。ABS樹脂はエンジニアリングプラスチックの1種として分類されていましたが、その生産性が母体であるポリスチレンに匹敵するほど大きく向上したことにより、2000年から五大汎用樹脂の1つに数えられるようになりました。

当社はABSフィラメントの材料として、家庭用3Dプリンターに使われるABS素材の中で最もグレードの高いものの1つである台湾の奇美社(Chi Mei Corp.)製のPA-747を使用しています。このPA-747を使用したフィラメントは海外の3Dプリンティングコミュニティで大変評判が良く、安定したクオリティの造形ができるものとして3Dプリント初心者の方にお勧めしております。

ABS樹脂の物理的特性

ABS樹脂は加工性に大変優れており、更にこの樹脂から作られた製品は表面に艶がありながら剛性や寸法安定性が高いため、着色や塗装、電気めっき、溶接、はんだ付け、熱プレス成形などの二次加工に適しています。この特徴を生かし、ABS樹脂は機械や自動車、電子機器、家電、玩具など、幅広い用途に使用されています。

特性 測定方法 測定条件 単位 測定値
抗張強度 ASTM D638 3mm, 6mm/min Kg/cm2 385
延伸率 ASTM D638 3mm, 6mm/min % 30
曲げ強さ ASTM D790 6mm, 2.8mm/min Kg/cm2 620
曲げ弾性率 ASTM D790 6mm, 2.8mm/min Kg/cm2 22000
アイゾット衝撃試験 ASTM D256 3mm, 23℃ Kg-cm/cm 41
メルトフローインデックス測定 ASTM D1238 200℃, 5Kg g/10min 1.1
硬度 ASTM D785 - Rスケール 108
比重 ASTM D792 23℃ - 1.03
ビカット軟化温度 ASTM D1525 3mm, 50℃/hr 103
熱変形温度 ASTM D648 熱処理 95
燃焼性 UL 94 - - HB @ 1.6mm